Perspectives on Leadership and Innovation

新年度が始まる今こそ、“本当のチーム”をつくるチャンス?

4月。新しい期が始まり、チームが変わり、プロジェクトが動き出す。
そんな季節が、またやってきました。

人事異動、新しい顔ぶれ、新しい目標。
でも…チームの“中身”までは変えられているでしょうか?


まだ、“ちゃんと話せていない”

先日、大手総合広告会社のとある事業チームから、
こんなご相談をいただきました。

「新規事業の立ち上げメンバーが集まりました。
でも、まだ面と向かって、ちゃんと話せていないんです」

このチームは、異なるカルチャーや価値観を持ったメンバーが集まり、
新しい組織を生み出すフェーズにいました。

・組織の未来像を、メンバー全員で言葉にしたい
・ただし、自分たちがリードすると話が偏ってしまう
・だからこそ、“対話を支えるツール”が必要だった

そんな背景から、私たちはBentoBoxのIBNF(Imagine Bold New Futures)モジュールを使い、
1日のセッションを設計しました。


「問い」に向き合うことで、見えてきたもの

セッションはファシリテーターなし。
セルフナビゲーションで、メンバー自身が進行していきます。

最初に取り組んだのは、“組織能力”を4つの視点から見つめる問い。
ここで、それぞれが何を見て、どう感じているのかが共有され、空気が変わりました。

参加者からはこんな声がありました:

「最初の問いでチームが見ている景色を可視化できたのが、すごく大きかった」
「企業の価値観と、そこにいる自分の価値観を統合するような構成がよかった」
「得意先のチームビルディングには時間をかけているのに、自分たちのチームづくりは後回しにしていたことに気づいた」


“強み”を言語化した瞬間、方向性が見えた

セッションの終盤では、これからの事業や組織のありたい姿を
「未来ビジョン」として描き出しました。

「自分たちの強みの源泉を深いレベルで言語化できた。
それをどう守っていくか、という“信念”も生まれた」

BentoBoxの設計思想は、「誰かが場を引っ張らなくても、
チーム自身が深い話にたどり着ける」ことにあります。

そこに参加者が実感を持ったことが、何よりうれしいことでした。


今、チームの“立ち上げ”に必要なこと

年度初めのこの時期は、「やるべきこと」が山積みです。でも、

「どう在りたいか」を言葉にしないまま始まるプロジェクトほど、途中で迷走します。

対話の場を、先に作っておくこと。
そして、問いを囲む時間を、丁寧に持つこと。

それだけで、チームは大きく変わります。


BentoBox IBNF モジュールとは?

Imagining Bold New Futures

**IBNF(Imagine Bold New Futures)**は、
“実現したい未来”を具体的に描くことで、メンバー間に共通のビジョンと関係性を築いていくセッションモジュールです。

  • 異なるバックグラウンドを持つチームで
  • 新規事業のビジョンを描きたいとき
  • 組織の文化や方向性を共有したいときに

多くの企業にご活用いただいています。


🟡まずは体験してみませんか?

私たちBENTOBOX INNOVATIONのチームは、
「問いから始まる変革」に30年以上取り組んできました。

BentoBoxは、誰もが“使える”ようにデザインされたセルフナビゲーション型の対話ツールです。

📩 お問い合わせはこちら

明日を切りひらく:組織成長のための大胆な新しい未来を創造

🔷「私たちは、何を目指す組織なのか?」──

その問いが、未来を変える起点になる。


新規事業を任された。
部門を統合した。
事業再編が進んでいる。

でも、「これからの私たちは、何を目指していくのか?」
その問いに、チームとしてしっかり向き合えているだろうか。

BENTOBOX INNOVATIONのモジュールのひとつ
**IBNF(Imagine Bold New Futures)**は、
そんな“未来の曖昧さ”を、戦略とビジョンに変えるためのフレームワークです。


🔍 チームの強み × 市場の変化 × 自分たちの想い

IBNFでは、次の5つのステップを通じて、チームが自分たち自身の“ありたい未来”を構想していきます。

  1. 組織の中の強みを言語化する
     ──スキル・資産・ナレッジなど、社内にあるリソースを正確に可視化。
  2. 共通の価値観を明確にする
     ──ミッションや行動原則と、自分たちの想いがどこで重なるかを見つけ出す。
  3. 市場・社会の変化を深く読む
     ──顧客ニーズや業界の兆し、トレンドから“次のチャンス”を捉える。
  4. 今だからこそできる戦略を構想する
     ──創造的かつ現実的に、チームで新たな解決策を描いていく。
  5. チームで未来を共有し、動き出す
     ──「どんな姿を目指すか」をビジュアル化し、言葉にし、実行計画につなげる。

IBNF 組織成長のための大胆な新しい未来を想像

🏢 ケーススタディ:A社の変革の軌跡(インド・金融業)

インドの資産再生会社A社では、銀行部門の不良債権の回収・再構築という難題をテーマに、IBNFを導入しました。

当初は「危機に対応するための改善施策」を考えていたチーム。
しかし、セッションを通じて視座が変わりました。

  • 社内にある知見・ネットワーク・信頼資産を再評価し
  • 組織のバリューと目指す社会的意義を再定義
  • 金融業界の変化(デジタルシフト・ESG視点)を洞察
  • チーム自身が描いた未来に向けて、戦略的な再設計を実行

最終的に、A社のチームは**資産回収業務の「再定義」**にまで踏み込みました。
単なる再建ではなく、社会における信用インフラを再設計するというミッションが生まれたのです。


💡 未来を構想するという“最高の戦略”

IBNFは、特別な知識やツールを持っていなくても、問いと対話によって未来をデザインすることができる構造です。

  • 上から“決めて落とす”戦略ではなく
  • 現場の知性と創造力を生かした“自走型の未来構想”へ

その過程で育まれるのは、共通言語・当事者意識・戦略的思考──
つまり、組織を“本当に変える土壌”です。


🚀 今、あなたのチームにも「未来の会議」が必要かもしれない

未来を創ることは、計画ではなく「選択」の連続です。
IBNFはその選択を、確かな問いと実行可能な戦略へと変える場を提供します。

「そろそろ、何か新しい仕掛けを」と感じているなら、
BENTOBOXの体験セッションから始めてみませんか?

📩 お問い合わせはこちら

ベストな仕事をするための環境づくり

ベストな仕事をするための環境づくり

ビジネスが人間の様々な努力の上に成り立っていることを認識したうえで、人々の協力関係を引き出すような、安全で、多様性を受け入れる環境を作ることが重要です。そうすることで、個々人の意見が聞き入れられ、注目され、存在意義を感じ、その結果、最良のアイデアと明確な方向性が生まれます。BentoBoxはチームが前進するためのアイデアを引き出し、チームの結束を強化し、組織の連携を促すようデザインされています。

本音の議論ができる環境づくりに重きを置くことで、その後に続くワークにおいて有意義なコラボレーションを行うための土壌を整えます。これにより、他人のアイデアを受け入れやすくなり、真のコラボレーションやパートナーシップが生まれ始めます。BentoBoxは急速にコラボレーションを生み出すツールなのです。各BentoBoxモジュールは「コラボレーションの準備運動」から始まり、そこで個人の考えやその思いを表に出すことで、それ以降のBentoBoxセッションのワークをサポートします。

キーポイント

・ビジネスはつまるところ人間活動の一つであり、仕事においても人間性の側面に目を向けることが重要です。

・個々人の意見が聞き入れられ、注目され、存在意義を感じるために、オープンで多様性を受け入れる環境をつくることは、非常に重要です。

・BentoBoxのプロセスは、チームが前進するためのアイデアを引き出し、チームの結束を強化し、組織の連携を促します。

・他者との壁を低くし、他のアイデアを受け入れやすくすることで、真のコラボレーションやパートナーシップを促します。

ディスカッション

ナレーター:
それぞれのBentoBoxモジュールでまず気づくことは、参加者にとって心理的に安全な環境をつくることから始まるという点ですが、なぜそれがBentoBoxセッションの実施にあたって重要なのでしょうか?

ジャリン:
セルフガイドの特徴について話したときにも言及しましたが、この少人数のチームとこの種の議論では、人間の様々な部分が引き出されます。キース(SYPartners創業者)とSYPartnersが創業時から持っている哲学は、ビジネスとはつまるところ人間の活動の一部であるということでした。

当たり前のことのように思えますが、90年代には、ビジネスにおいて人間の感情や背景にあるものはあまり重要視されていませんでした。本当に良い仕事をするためには、人間性を無視することはできません。私たちは、あらゆるビジネス活動に従事している人々が、聞き入れられ、注目され、存在意義を感じ、安心して素晴らしいアイデアや考え、正直な意見を発信できるよう手助けしたいと考えています。


チーム自身の力で議論・対話を進める「BentoBox」に関するお問合せ


SYPartnersの仕事は、人々がそれを行うための条件や受け皿、構造、安全な仕組みをつくり出すことです。チームや組織をある意味浄化することで、アイデアがより聞き入れられ、チーム内、組織内の結束がより強化されます。組織力がより向上し、方向性がより明確になります。

つまり、すべては人と人の連携なのです。心理的に安全な空間を作るというこの営みは小さなことのように思えるかもしれませんし、何度もBentoBoxをやっていると繰り返しに感じるかもしれません。しかし、議論をするための環境づくりとしては本当に重要なことだと思います。

トム:
BentoBoxのプロセスでは、他人のアイデアを受け入れることがとても重要です。最初のアイスブレイクのようですが、実は準備運動のようなもので、「私たちはどうすればいいのか」という非常に基本的な質問に立ち戻るためのものです。

どのチームにも、どのBentoBoxモジュールにも共通して言えることは、他者との壁が低くなると、真のコラボレーションが始まるということです。BentoBoxは急速にコラボレーションを生み出すツールだと説明しています。というのも、このようなワークを通じて人々の間にある壁を低くすることで、一日のセッションの中で、真のコラボレーションやパートナーシップが生まれるのを目の当たりにしているからです。

私はBentoBoxの最初の準備運動は、”本当の自分は誰なのか”、あるいは “なぜここにいるのか “を伝え合う場だと思います。「もし私がこれをするとしたら、あなたは私をどう受け止めますか?」、「どのように一緒にこれに取り組めそうですか?」これは、コラボレーションの準備運動のようなもので、なぜここに来たのか、なぜそこにいるのかという真の意図や、真の自己をさらけ出すことができるからです。そして、これはその日のセッションで行う以他のワークにとても効果的なのです。

ポッドキャストについて

「Perspectives on Leadership and Innovation」は、BentoBox Innovation株式会社の創業者兼CEOのトム・ペダーセンがホストを務めるポッドキャストです。

特別ゲストに、トランスフォーメーション&イノベーション、グローバル・コンサルタントのタバタ・ジャリン氏を迎えています。

BentoBoxの適切な実施人数と組織への拡げ方

BentoBoxの適切な実施人数と組織への拡げ方

BentoBoxの最適な参加者の人数は、数十年にわたる研究と実践経験に基づいて、4〜8人であることがわかっています。この人数であれば、心理的安全性が確保され、他メンバーとの間にある壁が取り払われ、利己的な感情が最小限に抑えられます。意思決定のスピードと多様な視点のバランスがとりやすい人数なのです。

一方、組織変革のような大規模プロジェクト等でBentoBoxを活用するには、組織をいくつかの小規模なグループに分けて実施します。各グループで多様なアイデアが生まれ、その後、組織全体に共有します。

BentoBoxにおけるチームのサイズは、効率性、創造性、コラボレーションのバランスをとりながら、チームとしてのサポートや一体感を得られる人数として決定されました。

キーポイント

  • 少人数のチームでは、意思決定が効率的で、かつコラボレーションを生み出します。
  • BentoBoxモジュールの最適なチーム人数を4~8人とすることで、心理的安全性を確保し、コラボレーションや創造の過程で互いの壁を取り払い、利己的な感情を最小限に抑えます。
  • 大人数の場合は、少人数のグループに分けて実施することで、多様なアイデアが生まれ、それを全体で共有することができます。
  • このアプローチによって、組織変革や企業文化の変革など、大規模で長期的なプロジェクトにおいてもBentoBoxを大人数で活用することができます。

ディスカッション

ナレーター:
BentoBoxの参加人数はなぜ4~8人と設計されたのですか?また、その開発に至った思考プロセスやデザインについて共有していただけますか?

Jarin:
おそらく、いくつかの要素が組み合わさった結果だと思います。SYPartnersでの多くの仕事は、目的に応じて異なるチームの人数で仕事をしていました。ペアで仕事をすることもありますし、3人組で仕事をすることもあります。2人だと時折行き詰まることがありましたけれども、その点3人であれば突破できる。少人数のチームは意思決定のスピードが速く、これに関する研究も多いです。アマゾンのジェフ・ベゾスの「ピザ2枚ルール」や、チームの生産性を高める人数に関してはさまざまな研究結果があります。

これらの研究では通常、5〜9人程度のチームの人数が最適とされており、意思決定の場合にはもう少し少人数かもしれません。BentoBoxには意思決定を促すモジュールもありますが、それ以外のほとんどのモジュールは、参加者にただただ素早く行動させ強引に突破させることを意図していません。そうではなく、むしろ参加者同士が互いにつながることを優先させました。このように私たちは、クリエイティビティとイノベーションに取り組むには、どの程度の時間をかけ、最適なチームの人数は何かを模索しました。

一方、私たちがデザインしているものがアナログ的な性質を持っているため、印刷に関して制約もありました。用紙に両面印刷できるサイズは限られています。私たちはできる限り大きく印刷できないか試行錯誤しました。そうすることで、BentoBoxをチーム全員が取り囲み一体感をもたせられるような、物理的に大きなデザインしたいと考えていたからです。テストを積み重ね、この大きさで上手くいくのは4~8人が限界だとわかりました。これは印刷上の制約に伴う決定でしたが、幸いなことに、この2つの要素が合致し、BentoBoxに最適なチームの人数が決定しました。


チーム自身の力で議論・対話を進める「BentoBox」に関するお問合せ


Tom:
これまでに様々なチームがBentoBoxを実施するのを見てきて感じましたが、BentoBoxのプロセスから生まれるある種の親密さが有ります。BentoBoxのプロセスの中では、心理的安全性が確保され、少人数であれば互いの壁が簡単に取り払われるのです。また少人数であれば、利己的な感情も少なくなりますね。

あと、よくあるケースとして、8人以上の大人数になる場合は、複数の小グループに分けて、あとで結果を共有し合います。各グループのアイデアが同じになることもありますが、多くの場合驚くほど多様なアイデアが出ます。BentoBoxは、まず小さなチーム単位で参加者をつなぎ、多様なアイデアを出しやすくします。その後、各チームから全体にそれらのアイデアを共有します。このアプローチによって、組織変革や企業文化の変革などの大規模で長期的なプロジェクトにおいても大人数でBentoBoxを活用することができるのです。

チーム自身の力で進めるとは?

チーム自身の力で進めるとは?

BentoBoxは、数十年にわたるイノベーションと組織変革の学びを、従来のファシリテータに頼る事なくチーム自身の力で前進できる強力なフレームワークに凝縮したものです。ゲームの世界からも着想を得ているこのプロセスは、ボードゲームの没入感と参加者自らの力で進める性質を取り入れています。「モノポリー」が戦略的な駆け引きでプレイヤーを魅了するように、BentoBoxのプロセスは、チームの潜在能力を最大限に引き出します。BentoBox内で各参加者は、自ら変化とコラボレーションを促進する”登場人物”となり、ストーリーの展開に参画します。意思決定における感情の側面も取り入れた、参加者のエンゲージメントを高め、コラボレーションへの障壁を取り払う、画期的なアプローチです。

このインタビューでは、世界トップクラスのコンサルティング&デザイン会社、SYPartnersに勤務しながら、BentoBoxモジュールの開発を主導したJarin Tabata氏にお話を伺いました。

キーポイント

  • チーム自身の力で進めるプロセスはオープンなコミュニケーションと自由度を高め、チーム力をより強化します。
  • ファシリテーターをあえて起用しないことで、チームはより本音で議論をすることができます。
  • ボードゲームを行っているかのように、参加者がBentoBoxのルールを一緒に考えて把握するという営みが、参加者同士のコラボレーションとエンゲージメントを高めます。
  • ストーリーテリング的なアプローチが、参加者の意思決定・相互作用・コラボレーションにおける感情や感性の側面を引き出し、対話の障壁を取り払い、エンゲージメントを高めます。

ディスカッション

ナレーター:
ファシリテーターに頼るのではなく、チームだけの力で進めることがなぜ重要なのでしょうか?

Jarin:
私たちは、チームが会社の機密情報を話し合ったり、チーム内のデリケートな問題にも取り組んだりすることがあるのではないかと考えました。

ファシリテーターの存在自体が、チームが率直かつ自由に物事を進めていくことを妨げてしまうかもしれないと考えたのです。

BentoBoxのデザインはなかなか大変でした。参加者がリアルに集まって、可能な限りチームだけの力で進める体験をデザインすることができるのか?

ゲームにとても影響を受けました。ゲームは、チームだけの力で進めるいい例です。

ボードゲームを開いて、ルールを読み、参加者が一緒に遊び方を理解することができるのです。

「モノポリー」のような優秀なボードゲームを体験すると、どのようにゲームが進行されるのか、つまり、何をもって次の参加者の順番とするのか、何人が参加するのか、そしてそれぞれの役割は何なのかを明確に指示しています。この人は銀行員、この人は不動産を扱う、などです。

ゲームの製作者がプレイヤーに対し、ゲームのルールや戦略、ゲームをプレイする目的、ゲームがどのように行動や結果を促すかを理解させる手法そのものに着想を得たのです。

このようにして、私たちはチームだけの力で進める「BentoBox」をデザインしました。


チーム自身の力で議論・対話を進める「BentoBox」に関するお問合せ


Tom:
私がSYPartnersと出会ったのは、約15年前、日本の銀行でチーフ・ラーニング・オフィサーとして働いていた時でした。

当時SYPartnersが日本で大規模な変革プロジェクトに取り組んでおり、定期的に会う機会がありました。君たちのことを知った時、プロセスやクライアントとの協働について非常にユニークだと感じました。

なぜなら、プロジェクトチームの中にジャーナリストがいることが多かったからです。

そのプロジェクトチームにおけるジャーナリストの役割は、ストーリーとして伝えることです。だから、同じようにBentoBoxにはストーリーテリングの要素が詰まっています。

BentoBoxのゲーム的な要素だけでなく、各BentoBoxモジュールには非常に一貫したストーリーがあります。

物語のスタート地点があり、全体的なストーリーの流れがあります。そして、物語の登場人物は、実際にその部屋で課題に取り組んでいる人たちなのです。

SYPartnersのコンサルティングプロセスが他と全く異なりユニークであるのは、そのストーリーテリング的なアプローチが、参加者の意思決定・相互作用・コラボレーションのおける感情や感性の側面を引き出し、対話の障壁を取り払い、エンゲージメントを高めることに重点を置いている点です。 まさにこれが、BentoBoxのデザインの特徴の一つだと私は強く感じています。

「公募型のチーム研修」はなぜ好評だったのか?

一般的に本社人事部が現場側のニーズに即した研修を提供することはハードルが高いと思われます。事業が多岐にわたる大手企業であれば、なおさらです。

しかし、実際には現場側には、通常の業務や目標管理のサイクルの中では解きほぐしにくいテーマや、社員のモチベーションに関わる問題など、収益への直結が期待しにくい議題が放置されやすい状況があります。現場側では、研修的な予算が組みにくい状況も多く見られます。

今回は、本社人事部がBentoBoxを用いた公募型の制度を作ることにより、現場側の”前向きに議論したいテーマ”を掘り起こし成功に導いた事例をご紹介しつつ、現場側に潜在的にある対話や熟議のニーズについて考察を共有させて頂きたいと存じます。

BentoBoxの事例: 「イノベーション研修」を本社が準備し、現場から有志チームを公募

大手の金融機関 A 社様の本社人事部とご一緒し、 BentoBox を使った公募型のプログラム(「イノベーション研修」)を実施させていただきました。実施の狙いと概要は以下の通りです。

目的:
同じ業務上の課題認識を共有し、本研修プログラムに沿って議論することで、お互いに気づきを深め、イノベーションを生み出す創造性の開発を行う。

応募条件:
● 上記の目的に資する課題があること。
● 6名のメンバーを集めて、応募すること。
● 全員が社内の同じ組織に属している必要は無い。
● 実施可否判断は人事部で行う。

実施条件:
● 全員リアルで集合し、プログラム(1日)に全参加すること。
● 選抜後に、自チームが活用したいBentoBoxモジュールを選択すること。

応募状況 :
● お客様の徹底した周知が功を奏し、枠を超える応募がありました。 応募されたチームの中には、当初予測していた「1部門から6名で参加」というパターンの他に、「事業部内の隣の部門と合同」、や「同期入社の有志で」などのユニークな応募もあり、積極的な参画が見られました。
● 討議テーマとしては、事業やマーケティングのありたい姿をIBNF(“大胆な新しい未来を想像する”)モジュールで実施したり、UYB(“自分のバイアスを気づく”)モジュールを用いて組織文化や働き方を見直すなど、俯瞰性の高いものが多く選ばれました。

参加者コメント :
● 「本プログラムのような、お互いを理解し合い、全体を俯瞰した議論がしやすいプログラムは無く、大変感銘を受けた。こうした議論は、本来職場で自然と行われなければならないと思うが、実際には多忙なうえに、”常に責任の所在の明確化”が必要な議論の場が多い。」
● 「部署は違えど同様の業務を行い、同じ価値観・仕事観をもつ先輩後輩が集まり、各人の考え・経験をアウトプットし、共有した。テーマも自ら決めていくことで、練度が強く、納得感ある結果に結びついた。本研修で最終的に練り上げた結果の正しさに価値があるのではなく、プロセスに非常に価値があり、またモチベーションの向上に繋がったと実感している。」
● 「職場を離れて、建設的な議論ができる点が良い。飲み屋で話すと愚痴会になりがちだが、フラットに話しやすい環境で、業務時間中に話すことで、とても有意義で前向きな機械になった。」

参加された皆様の満足度はどのチームも高く、A社様にとって、このような新しい場づくりが現場側の潜在ニーズを掘り起こした素晴らしい事例となりました。

この事例から、皆様にとっても参考となりそうな点を、以下に考察させて頂きます。

弊社の考察

* 事業・ラインの現場には、本当はメンバーで意識合わせ、対話や熟議をしたいが、目標管理・PDCAサイクルの中では、そうした場を持ちにくいテーマが眠っている。
* そうしたテーマは、心理的安全性が高く、個々人の本音や多様性を尊重した対話の場の中で議論することが効果的である。「飲み会」は、後ろ向きの会話に流れやすく、世代が混じるとフラットに対話しにくい場合がある。
* 場づくりのポイントとしては、フラットに議論しやすい環境を作り、テーマを決めて、アウトプット目標をもって、対話・熟議を行うことが重要。
* 人事部などの本社予算で、参画意欲、問題意識の高いメンバーに、こうした場を提供することが、組織活性化の一つの手法となりうる。

おわりに

セルフナビゲーションで少人数で実施し、アウトプット目標のある議論を提供するBentoBoxは、A社様のような参画型の社内研修制度を組み立てるツールとしても有効です。

 「中期経営計画実現の遅れを巻き返したい」

BentoBoxの事例

先日、日本の大手総合科学メーカーの事業部にて、中期経営計画に掲げた目標達成のための計画を議論する場をサポートさせていただきました。


背景

  • コロナの影響により、当初の計画の柱であった新製品の顧客導入テストが遅れがちになり、中期経営計画の遅れが発生している。
  • さらに、事業部関係者(営業、製造、技術開発)が一堂に会し対応を徹底的に議論することができていない。
  • 結果として、各論では様々な対応案が出るが、一致団結した方向転換やマイルストーンの引き直しが実現していない。

BentoBoxセッションをご活用いただいた部門マネジャーのニーズは下記の通りでした。

「事業部のコアメンバーに集まってもらい、現状認識を深く共有し、さらに各部門の立場を超えた対応策の意見を引き出したい。」

「(メンバーには自分よりも役職の高い方も多く)自分自身が前に立って議論をリードするのではなく、BentoBoxツールを活用しフラットに意見を引き出したい。」

「目標を再検討するのではなく、あくまでも計画を見直したい。それに適したBentoBoxモジュールを使いたい。」

事業部のコアメンバー6名がリアルに集い、「PYWF(Planning Your Way Forward)というBentoBoxモジュールを活用し、1日かけて討議をした内容はご参加のみなさまにとって課題と前進の方向性の認識合わせを図る機会となりました。

参加者の感想をいくつかご紹介いたします。

マイルストーンの中身を詰めたことには前進を感じる。時間がかかるものとそうでないものの仕分けが明確となった。

● (あるマーケティング施策案について)やっぱりこれ大事じゃん!とこのメンバーの認識が一致したことは大きな前進であった。


● 部門を横断して、他部門の方とこれだけ長時間しっかり話す機会が無かった。こういう機会は貴重であった。


● トラブル対応のために当日遅刻者が出たが、BBI㈱のガイドの方から今日の議論は一筆書きの議論(一期一会の機会)ですと言われ、あえて開始時間を遅らせる判断をしたことは良かった。しっかりと場の雰囲気をキープして議論が進められた。

「業務内容とチームのアップデートを同時に図りたい」

BentoBoxの事例

先日、世界的ラグジュアリーファッションブランド会社において、現場目線で業務刷新を議論する場をサポートさせていただきました。


背景

  • 店舗常駐型のサポート業務を担当する部門のため、各メンバーが店舗に張り付いている。
  • コロナ期間中は、全員でリアルで集まることが物理的にできなかった。また新人社員も加わったが、チームビルディングの機会がなかった。

BentoBoxセッションをご活用いただいた部門マネジャーのニーズは下記の通りでした。

「各現場で感じている業務の課題感や改善のチャンスを、一堂に会してブレーンストーミングをするチャンスを持ちたい」

「コロナ禍を経て様々な経験や挫折感を共有しながら熱量を持って議論してもらいたい」

「自分自身が前に立って議論をリードするのではなく、BentoBoxツールを使って、各人がフラットに意見・アイデアを出せる場を作りたい」

現場リーダー6名がリアルに集い、FARA (Finding a Rare A-ha)というモジュールを活用して、1日かけて討議をした場は、お陰様で、クライアント様にご満足いただける結果となりました。

参加者の感想をいくつかご紹介します。

1. “初対面の方も含めて、参加者それぞれに対する発見があり、”人となり”が分かった。”

2. “はじめは、マネジャーが入らないので議論がまとまらないのではないかという不安があったが、参加者が皆前向きな方ばかりで、とてもポジティブな議論ができた。”

3. “はじめて副社長にその場で直接成果を報告する機会があり、緊張したが現場の声に耳を傾けてもらえて感謝するとともに、我々のアイデアが実際に採用されたら嬉しい。”

弊社は BentoBox を使った価値ある「場づくり」を支援しています。

あえてマネジャーは議論に入らないようにする、や、当日中に副社長にそのまま成果発表する、というアイデアはクライアント様と弊社の事前の相談を経て決断されたことでした。

弊社BBIでは、クライアント様の目的やアジェンダに最もあったBentoBoxモジュールの選定をはじめ、こうした「場づくり」のアレンジにもアドバイスを提供させていただいております。